2019.2.25category:アイテムのお話
昨年9月、お声かけをいただいた事をきっかけに今年の春からVlas Blommeをお取り扱いさせていただく事となりました。
futanaにあるお洋服・小物はどの作り手さんにもそれぞれの特色がありますが、その中でVlas Blommeは『リネンの力を最大限に感じさせてくれる作り手』だと思います。
『Vlas Blomme』はベルギーフランダース地方の言葉であるフラマン語で「リネンの花」を意味する言葉です。
ブランド名自体がリネンにまつわるVlas Blommeは、数世紀にわたりリネン産業の中心地として栄えてきたベルギーKortrijk(コルトレイク)のリネンを中心にオリジナルで生地を作りその生地最適の使い方で洋服や小物を作っておられます。
なんとリネン100%のカットソー素材、リネン起毛素材、リネンデニムを独自の技術で世界で初めて生み出したのはVlas Blomme。その完成に至るまでには越えるべき山が沢山あったそうです。
リネンの原料であるフラックスは植物で、その繊維質を取り出しねじりながら糸へと紡いでいくのですが、綿や毛などに比べハリコシが強いリネンをニット地にしようとして針窯の針が何度も折れたとVlas Blommeの石井さんがおっしゃっていました。
「ヨーロッパに行った時にリネンがとても日常的な素材で、日本でももっと身近にリネンがあれば良いと感じていた。その時リネンでカットソーが無かったからつくる事にしたんです。」という石井さんの言葉がとても印象的。水を吸収しやすく乾きやすい、そして丈夫である事が特徴のリネンがカットソーになる事で洋服の幅は大きく広がります。
リネンはチェーンのようにつながっている繊維細胞のおかげでとても丈夫で、その繊維のまわりをペクチンというゴム質が保護しているので水をはじきつつも繊維細胞同士の隙間には水が容易に入り込みやすく、けれど奥まで吸い込まないので汚れも落ちやすく乾きやすいという特色があります。なんだかよい事だらけ。そのリネンという素材をニット地にして自由に好きな形に縫製出来るようにしたVlas Blomme。織りのものとは全く違う弾力性・伸縮性を兼ね備えた扱いやすさ抜群の生地が生み出されたのです。
「欲しいけれど、無いから自分達で作る」という力強さは、扱う素材も雰囲気も違うけれどtamaki niimeさんと同じものを感じました。
妥協のない、終わりのない探求心はfutanaにとってとても刺激的。
また、Vlas Blommeの扱うKortrijk Linenはリネンの中でも最高品質と言われ、その表情も肌触りも実際に感じると思わずファンになってしまう魅力を持ち合わせています。
最高品質かつ世界最大のリネン産地はベルギーフランダース地方。コルトレイク市はそのベルギーの北西に位置する西フランダース地方にあります。
この地は長年にわたりリネン産業の中心地として栄えてきました。
Vlas Blommeが使用しているKortrijk Linnen(コルトレイクリネン)はこのコルトレイク市で長年生産を続けるリネン紡績工場「ジョス ヴァネステ社」の四代目社長「アレックス ヴァネステ氏」によって厳選された、フランダース地方の農場で栽培するその年の最も良い出来とされるフラックス(植物から繊維の状態)で作られる糸を総称したものです。
「Kortrijk Linnen」の称号はとても厳しい基準をクリアしてきた証ともいえるのです。
アレックスヴァネステにより、選りすぐられたフラックス繊維は、高い強度に加え弾力性・均一性に優れています。豊かな土壌から十分なミネラルを吸収し育ったコルトレイクリネンは膨らみとコシ、そして光沢感のある表情を見せます。繊維が細かく、洗うごと、使うごとに糸の中の繊維がどんどん細かく分離する事で柔らかさが増していくのです。
さらにコルトレイクリネンは夏だけでなく冬素材としても楽しむことができます。細かい繊維の中に空気を取り込む為、寒いときには保温性もあり、オールシーズン楽しんでいただけます。
更にVlas Blommeは生地の面での希少価値だけでなく、そのデザインやシルエットもまた特徴的で他とは違う楽しさを備えています。
一見ゆるゆると見えるパンツはヒップラインがすっきりと美しく、窮屈なパンツが苦手な方でも大満足の一本。ワンピース一つとっても、カフスや裾のカッティング、襟もとのディテールが凝っていてスタイリングのアクセントとなってくれます。
天然素材というイメージの強いリネンですが、洋服の幅を驚くほどに広げてくれるという側面も持ち合わせている素晴らしい素材。
リネンを好きな方は勿論、リネンに抵抗感のある皆さまも是非お手にとってご覧くださいませ。